築60年の実家を建て替えた記録から、「建て替えだけに発生する費用」をまとめる。
家を建てる費用は、どの会社の見積にも載っている。だが建て替えでは、それとは別に、新築なら発生しない費用がかかる。古い家を壊す。中のものを片付ける。工事の間どこかに住む。荷物を運び、預ける。
当家では、この分が約340万円だった。
この記事の要点
- 建て替え固有の費用は、当家の場合で約340万円
- 事前に確定できるもの、期間で変動するもの、出るまで分からないものの3種類がある
- 仮住まいは工期どおりに終わらない。前後の両方に余裕が要る
- 引っ越しは往復と保管をまとめて比べる
当家の条件
金額は条件で変わる。以下は当家の場合である。
- 東京都内の狭小地、築60年・木造2階建ての解体
- 60年分の荷物(祖父母の代からの家財を含む)
- 仮住まいは7か月、家賃10万円前後のマンション
- 2023年に契約、2024年に引き渡し
同じ建て替えでも、建物の規模、荷物の量、仮住まいの家賃と期間で総額は動く。参考になるのは金額そのものより、どういう費目が発生するかだと思う。
内訳
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 解体工事(本体) | 約120万円 |
| 地中埋設物の撤去 | 約30万円 |
| 荷物の処分(不用品回収業者) | 約30万円 |
| 荷物の処分(解体業者・残置物) | 約15万円 |
| 仮住まいの初期費用(実質) | 約20万円 |
| 仮住まいの家賃(7か月) | 約70万円 |
| 退去時のハウスクリーニング | 約7万円 |
| 引っ越し(往路・保管・復路) | 約50万円 |
| 合計 | 約340万円 |
いずれもハウスメーカーとは別に自分で手配した費用である。住友不動産の工事費には含まれていない。
解体まわり——約150万円
解体工事の本体が約120万円だった。一括見積サービスで3社を比較し、自己手配している。


そこに地中埋設物の撤去が約30万円加わった。更地にしたあと、地中から古いコンクリート基礎の残骸が出てきたためだ。量は3トントラック3台分で、撤去しないと基礎工事に進めない。
この30万円は、事前に見積もることができない。出るかどうかも、出た場合の量も、掘ってみるまで分からないためだ。

詳細は解体工事を自己手配した実例と解体後に地中埋設物が出た実例に書いた。
荷物の処分——約45万円
引っ越し費用とは別に、運ばないものを処分する費用がかかった。
築60年の家には60年分のものがある。新居は敷地の条件から狭くなるため、持っていける量には限りがあった。
本、ゴルフクラブ、ブランド品は宅配買取に出した。骨董品と着物は業者に出張査定を頼んだが、引き取れるものはないという回答だった。市の古紙回収と粗大ごみも使った。
それでも処分しきれないものが残る。分類が面倒なもの、判断に迷うもの、量が多くて個別対応では間に合わないもの。これを不用品回収業者に依頼して、引っ越し直後に丸一日で家をほぼ空にしてもらった。約30万円である。
さらに、開封済みの調味料や金物、木製の家具などが最後に残った。これは解体業者に「解体時にまとめて処分」を依頼した。残置物の片付けとして約15万円が解体費用に加算されている。
処分費の合計は約45万円で、引っ越しの輸送分(往復で約35万円)を上回った。運ぶ費用より、運ばないものを捨てる費用のほうが高くついた形になる。
処分先の使い分けと、何が売れて何が売れなかったかは荷物整理と不用品処分の実例に書いた。
仮住まい——約100万円
仮住まいには、家賃のほかに初期費用と退去時費用がかかる。
初期費用は敷金・礼金・仲介会社への紹介料などで、契約時に約30万円を支払った。ただし敷金の約10万円は退去時に戻ってきたので、実質の負担は約20万円である。資金計画を組むときは、契約時に出ていく額と、最終的に残る額を分けて考えるとよい。
退去時にはハウスクリーニング代が約7万円かかっている。
家賃は7か月分で約70万円。物件は家賃10万円前後のマンションで、仮住まい物件専門の仲介会社を通して借りた。
問題は、この7か月という期間である。
当初の想定は6か月だった。実際に7か月になった理由は2つある。
ひとつは、入居予定より前から契約を始めたこと。良い物件は早く埋まるため、押さえるには申し込みを急ぐ必要があった。12月入居の予定に対して、契約開始は11月5日になっている。
もうひとつは、引き渡しが遅れたこと。建築許可申請が難航し、当初の予定から後ろへずれた。明け渡しは6月初旬になった。
つまり前にも後ろにも延びている。仮住まいの費用を「工期÷家賃」で見積もると足りなくなる。
仮住まいの探し方と契約の実際は仮住まい先選定の記録に書いた。
引っ越しと保管——約50万円
建て替えの引っ越しは、通常の引っ越しと形が違う。
仮住まい先には必要最小限だけを運び、残りは業者の保管サービスに預ける。半年後、新居が完成したら、仮住まい先の荷物と保管荷物の両方を新居に運び込む。往復2回の輸送と、その間の保管が1件の発注になる。
内訳は次のとおりだった。
- 旧居から仮住まいへ:約15万円
- 保管料(半年):約15万円
- 仮住まいから新居へ:約20万円
復路が往路より高いのは、仮住まい先で購入した家具が増えたためである。仮住まいには家具がなかったので、マットレス、座卓、ダイニングテーブル、TV台などを新たに買った。これらも新居へ運ぶことになる。
比較したのは「保管料+往復引っ越し代金」の合計額だった。4社から相見積もりを取り、この合計が最も安い業者に発注している。
往路の金額だけでは比べられない。保管料が別に発生し、復路も同じ業者に頼むことになるためだ。合計で出してもらえば、業者間の差はそれで分かる。
見込めるもの、見込めないもの
建て替え固有の費用には、性質の違う3種類がある。ここが、この記事で最も伝えたい部分だ。
確定できるもの
解体工事、荷物の処分、仮住まいの初期費用、引っ越し。いずれも相見積もりを取れば事前に金額が決まる。当家では解体で3社、引っ越しで4社から見積を取った。
期間で変動するもの
仮住まいの家賃と保管料。工期が延びれば、その分だけ増える。
前述のとおり、当家では想定6か月に対して7か月になった。家賃1か月分の上振れである。建築許可申請の遅延という、契約時点では予測できない事情による。
資金計画では、仮住まいの期間に余裕を見ておく。工期どおりに終わる前提で組むと、遅延がそのまま予算超過になる。
出るまで分からないもの
地中埋設物。当家では約30万円だった。
古い土地の建て替えでは出る可能性がある。ただし、出るかどうかも量も事前には分からない。予算に組み込めない代わりに、出たときに誠実に対応する業者かどうかを契約前に確認しておく。発見時点で見積を提出するという約束を取り付けておけば、金額の妥当性を判断できる。
見積を並べるときにどう扱うか
ハウスメーカーの見積を比べる段階では、建て替え固有の費用は視野の外にある。本体工事費の話だからだ。
だが実際には、この340万円も同じ資金から出ていく。総予算を考えるとき、本体工事費とは別枠でこの分を確保しておく必要がある。
当家では、住友不動産から解体費用の見積と、仮住まい専門業者の紹介を初回の提案時に受けていた。そのおかげで、本体工事費のほかにどういう費用が発生するかを早い段階で把握でき、総額の見通しを立てたうえで計画を進められた。
解体は最終的に自分で手配することにしたが、金額の相場を知る材料としては、この見積が起点になっている。
会社によって、解体や仮住まいの扱いは分かれる。見積に含めてくる会社もあれば、別途の会社もある。含まれているのか、別途ならいくらか。見積を比べるときは、そこまで揃えてから並べる必要がある。
5社の見積を並べたときの実際は第14章に書いた。
複数社の資料をまとめて集める方法は別の記事にあります。
まとめ
- 当家の建て替え固有費用は約340万円。条件が違えば金額は変わる
- 処分費(約45万円)が引っ越しの輸送分(約35万円)を上回った
- 敷金は戻る。契約時に出ていく額と最終的に残る額は分けて考える
- 仮住まいは前後に延びる。工期どおりに終わる前提で組まない
- 地中埋設物は予算に組み込めない。出たときの業者の対応を先に確認しておく
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