着工スケジュールを組む

仕様決定は順調に進んでいた。

8月に契約を結び、9月に入ってからは間取りの詳細を詰め、ICとの打ち合わせも始まっていた。この調子なら11月中旬には仕様が確定するだろう、という見通しが立ってきた。

仕様が固まれば、次は工程だ。

9月中旬、営業担当との打ち合わせで、着工スケジュールの策定に入った。こちらの希望はひとつ、「契約から最短日程で」。とにかく早く新しい家での生活に移りたかった。築60年の実家で長年見てきた不具合を、一日でも早く過去のものにしたい。その一心だった。

建築許可申請という前段

当家の居住地域は少し複雑な事情があり、通常の建築確認申請の前に「建築許可申請」という手続きが必要だった。建築許可が下りてはじめて、建築確認申請に進める。解体工事も、許可が下りてからでないと着手できない。

この事情は地域限定の話なので、これから建て替えを検討する多くの人には関係がない。ただ、自分の土地がどういう地域指定を受けているか、事前に確認しておいたほうがいい、という学びはあった。都市計画や景観条例の関係で、通常の手続き以外のステップが必要になる土地は、意外と多い。

ありがたかったのは、住友不動産の営業担当がこの事情を最初から把握していたことだ。ハウスメーカー選定のために初めて住友不動産を訪問した時点で、営業担当は事前の敷地調査で建築許可が必要な地域であることを認識しており、11月に開催される建築審査会の日程から逆算して、必要な準備を進めてくれていた。

10月中旬までに建築許可申請を行い、承認を受けて解体工事が可能となる。12月初旬に建築確認申請を行い、12月中には建築確認済証が発行される流れだ。

当初の計画

以上を前提に、以下のようなスケジュールを組んだ。

  • 11月中 建築許可承認
  • 12月 解体工事(2週間)、建築前確認等(2週間)
  • 1月第2週 着工会・地縄確認
  • 1月第3週〜 建築着工
  • 5月1日 引き渡し

建築着工から引き渡しまでの4ヶ月は、さらに細かく分かれる。

基礎工事に1ヶ月。建て方工事に3週間。配線・配管工事に1週間。造作工事に1ヶ月。断熱施工と外壁施工で2週間。外構工事に2週間。ざっくりこのような配分で、逆算すれば1月第3週の着工で5月1日引き渡しに間に合う、という計算だった。

工程表を目にすると、家を建てるというのは本当にたくさんの工事の積み重ねなのだと実感する。基礎を打って、構造を組み上げて、屋根をかけて、配線と配管を通して、壁と床と天井を仕上げて、外壁を貼って、最後に外構を整える。それぞれに職人がいて、段取りがあり、気候の影響も受ける。

こちらからすると「契約から最短」というシンプルな希望でも、実現するには工程同士を隙間なく噛み合わせていく緻密な作業が必要になる。営業担当が示してくれた工程表には、そういうプロの段取りの蓄積が詰まっていた。

逆算方式とコミットメント

建築業界には「逆算」という考え方がある。引き渡し日から逆算して、各工程に必要な日数を差し引いていき、着工日を決める。その着工日に間に合わせるために、さらに手前の工程を決めていく。

この逆算方式の優れているところは、途中で天候の影響などがあっても、ある程度はハウスメーカー側で調整し、最初に決めた引き渡し日は原則として守る、というコミットメントが前提になっていることだ。工程に多少の変動があっても、引き渡し日は動かない。これは建て主からすると非常に安心できる仕組みだ。

だから、5月1日引き渡しというゴールは、この時点でかなり確度の高い約束事として共有された。

並行して動くこと

スケジュールの仮設定が固まると、同時並行で動かすべきことが一気に見えてくる。

まず、解体業者の選定。住友不動産経由で頼むこともできるが、自分で業者を手配したほうが費用を大幅に抑えられるのではないか、という考えが8月頃から頭にあった。ネットで情報を集めた結果、やはり自分で手配する方針でいこうと決めていた。12月解体に間に合わせるためには、早めに業者を押さえておく必要がある。

次に、仮住まい先の選定。解体から新居入居まで、半年近く借りる家を探さなくてはならない。立地、家賃、設備、契約期間の柔軟性。考えることは多い。

そして、仮住まい先への引っ越し。築60年の家には60年分の荷物がある。業者の選定と、引っ越し日の確定。

どれも初めての経験で、しかもそれぞれに期限がある。この時点では頭の中で整理するだけで精一杯だった。ひとつずつ順番に片付けていくしかない。

ひとまず、ゴールは見えた。5月1日引き渡し。そこに向けて、できることから手をつけていく。