基礎工事が粛々と進むなか、並行して進めていたのがカーテンプランの検討だった。
工事現場では職人が黙々と作業を進めている。一方、施主である自分にできるのは、内部のインテリアを決めていくこと。毛色の違う、少し華やかな検討フェーズが、このタイミングでやってくる。
インテリアの中でもカーテンは、少し特殊な位置にある。カーテンレールは内部造作工事に関係するし、色合いや機能は住宅設計に重要な意味合いがあるので、IC担当が積極的に関わる領域だ。もちろん、施主が自身でカーテン本体を購入することは可能だが、カーテンレールはICに発注することが基本となる。
カーテン検討のタイミング
カーテンの検討タイミングには、他のIC項目と違う事情がある。
第19章で書いたICの初期打ち合わせでは、カーテンは決めていない。着工会の仕様書にも含まれていなかった。カーテンは工事が始まってから、現場の骨組みが立ち上がる前後に詰めるのが一般的な流れだからだ。ただし、上棟会までには決めておく必要がある。上棟会にはIC担当も同席し、間取りの立体的な確認に参加するため、そこでカーテンプランも最終確定させる。
カーテンレールの長さ、レールのタイプ、カーテンの丈。これらは居室の導線や家具配置と密接に関係するため、細かく決めていく。空間の輪郭が現場で見えてきたこのタイミングで詰めるのは、理にかなっていた。
1月下旬の打診
ただ、それにしても「もっと遅くてもよかったのでは」と思うタイミングで、IC担当から打ち合わせの打診が入った。1月下旬、まだ着工会(1/22)の直前である。
「1月下旬には打ち合わせを設定したいのですが」
なぜこんな時期に、と不思議に思いつつ、1/20の打ち合わせ当日、IC担当がちょっと照れくさそうに明かしてくれた。
「実は、住友不動産側から工事スケジュールの連絡が遅れていまして……。昨日知ったんです」
なるほど、と思わず笑ってしまった。工事のスケジュール情報が社内で遅れて伝わっていたため、IC担当としては大慌てで打ち合わせを設定してくれていた、というわけだ。
「でも、早いにこしたことはないから進めましょう」
ということで、まだ着工会もしていない段階でカーテン検討が始まった。
新宿住友ビルのショウルームで
1月20日、新宿住友ビル9階の住友不動産シスコンのショウルームで打ち合わせを行った。
住友不動産シスコンは、住友不動産グループのインテリア部門を担う会社だ。家具、カーテン、照明器具、エアコン等のインテリア商品販売に加え、インテリアコーディネートも手掛けている。ICとカーテンの担当者が同じ人なのは、そういう理由である。カーテン以外にも、照明プラン、外壁から内装の選定全般まで、同じ担当者が一貫して見てくれていた。
ショウルームには、実際のカーテンの大きな生地見本と、手元で見られるサンプルが揃っている。打ち合わせでは、以下の窓について選択肢を絞り込んだ。
- リビング:テラス窓と出窓のカーテン
- 居室:テラス窓のカーテンと小窓のロールカーテン
- 小屋裏:ロールカーテン
それぞれ候補を2種類に絞り、サンプルを持ち帰ることにした。その後はショウルーム全体を案内してもらい、カーテン以外のインテリア製品にも触れながら、1時間半ほどで打ち合わせ終了。
後日、IC担当から正式な見積とプレゼン資料がメールで届き、そこから具体的な検討を進めていくことになる。
選定の観点
カーテン選びで最重視したのは、遮光性だった。
良い睡眠をとるには、朝日を確実に遮る必要がある。目覚めたいときに目覚め、寝たいときに寝る。そのための条件として、遮光一級、ウォッシャブルを指定した。
デザインは無地でシンプル、部屋の雰囲気に合うものを選ぶ方針とした。
- リビングはベージュ基調のため、カーテンも淡い色に
- 居室は少しダークな色味を取り入れたので、濃紺や深いグレイなどの濃色系に
価格は条件の中で最もリーズナブルなものを。ブランドは問わない。機能とデザインで選ぶ、という割り切り方をした。
シスコン見積とネット購入の比較
住友不動産シスコン経由の見積は、カーテン1枚あたり15,000〜19,000円程度だった。予算感としては、家全体で10万円以内に収めたい。
ネットのカットオーダーカーテンを調べてみると、1枚8,000円程度で、品質はシスコンの7割くらい(感覚値)。遮光一級で色合いが良ければ機能要件は満たせる。
費用はネットの圧勝。しかし、シスコンに頼めば高品質が担保され、引き渡し時にはすべてセットされた状態で家が引き渡される。何より、ここまで親身に相談に乗ってくれたシスコン担当者の提案するプランを、無下に断るのも気が引けた。
どちらを選ぶか、1週間ほど検討した。
多少の葛藤があったが、最終的にはネットでのカットオーダーに切り替えることにした。ここまでの検討で費用が若干予算からオーバーしていたこと、家の片付けや解体時の埋設物撤去、仮住まい期間が延びたことも重なり、これ以上費用を上積みすることはできない、と判断した。
住友不動産シスコンには、カーテンレール全般(これは既に発注済みだった)と、書斎の小窓・小屋裏の小窓のロールスクリーンのみを発注する形に切り分けた。ロールスクリーンはレールと一体になっているため、シスコンに任せるのが自然だった。
結果として、カーテン関連の総費用は予算の10万円以内に収まった。
カーテンレールと房掛けの、こだわりどころ
カーテン関連で意外に奥が深かったのが、カーテンレールと房掛けの位置決めだった。
房掛けとは、カーテンを束ねておく帯(タッセル)を引っ掛ける壁側の金具のことだ。この位置は、生活の導線で決める必要がある。
例えば、ベッド脇の窓のカーテン。起きたときに手前からカーテンを開けるので、房掛けは奥側に設置する。逆側にあると、わざわざ奥に手を伸ばしてカーテンを引っかけることになり、動線が悪い。
リビングのレール長さも、家具の寸法を踏まえて調整した。テレビ台やソファの配置と干渉しないよう、カーテンを開けた時に溜まる位置が家具にかからないようレール長さを決める。
小さな話に見えるが、こういう細部を詰めておかないと、入居後に「なんだか使いにくい」という違和感として残り続ける。
決定は上棟会当日
カーテンプランは、1月29日に初回見積がメールで届いてから検討を重ね、最終決定は上棟会当日(3月23日)に回答する約束になっていた。ただ実際には、2月初旬には方針がほぼ固まっていた。
上棟会の日、現場で立体的な空間を確認したうえで、改めてカーテンプランを確定させた。図面上のイメージと、実際に骨組みが立ち上がった空間での印象は、やはり違う。現場で確認してから最終決定、というプロセスには意味があった。
次は、上棟会
工事現場では、基礎が完了し、建て方工事が本格化していく。次は、いよいよ建物の骨格が立ち上がる瞬間、上棟会だ。