建て替えの解体工事を自己手配した実例|費用内訳から滅失登記まで

55歳で、築60年の木造実家を建て替えた記録を書いている。このページは、その中から「解体工事」だけを取り出してまとめたものだ。費用の実例、自己手配の経緯、地中埋設物のトラブル、解体後の登記まで、各記事の内容を一度で全体をつかめるようにした。詳細は各章へのリンクで読める。

結論:解体にかかった費用の全体像

最初に数字を出す。狭小地に建つ築60年・木造2階建ての解体で、実際にかかった費用は次のとおりだ。

項目費用
解体工事(本体)約120万円
解体前の残置物片付け約15万円
地中埋設物の撤去(追加)数十万円

一括見積もりで取得した3社の見積は150万円前後で均衡しており、その中で最安の業者に発注した。一方、ハウスメーカー(住友不動産)経由の解体見積もりは、これを明確に上回っていた。自分で手配したことによる差額は数十万円単位になった。

なお、地中埋設物の撤去費用は事前に見込めない性質の支出で、想定予算はかなりオーバーした。ただしこれは誰に発注しても発生していた費用だ。この点は後述する。

なぜハウスメーカー経由をやめて自己手配にしたか

解体工事は、ハウスメーカーに一括で任せることもできる。品質管理や進行管理の面では安心だが、中間マージンが乗るぶん費用は割高になる。住友不動産からも解体込みの見積もりは出ていたが、ここを切り離して自分で発注すれば、数十万円単位で費用を下げられる可能性があった。

ただし、自己手配にはトレードオフがある。

  • 窓口の一本化を失う。解体業者とハウスメーカーの間の日程調整は自分でやることになる
  • 業者選びの責任を自分で負う。解体業界はトラブル事例も多く、優良業者は紹介中心で回っていてネット検索の上位に出てくるとは限らない

素人が一から優良業者を探すのは無謀に近い、というのが調べた実感だった。それでも自己手配を選べたのは、次の方法があったからだ。

詳しい経緯は 第25章 解体業者選定 に書いた。

一括見積サービスで3社比較した

利用したのは、あんしん解体業者認定協会が運営する「解体無料見積ガイド」という一括見積サービスだ。審査を通過した業者だけが登録されており、施主と業者をマッチングしてくれる。利用料は無料。

連絡を入れると、地元に近い業者3社を候補として選定し、私が在宅できる平日に合わせて3社の訪問見積もりをまとめて設定してくれた。いずれも築60年クラスの木造解体の実績が豊富で、現場を実際に見たうえで、搬出経路・近隣配慮・工期を確認してもらえた。

3社の見積は150万円前後で均衡。その中で最も安く、対応も信頼できた株式会社MUSUBIに発注した。突出して安い業者ではなく、均衡の中での最安という位置づけだったことも、かえって安心材料になった。

近隣挨拶は業者が対応してくれた

自己手配で心配だったのが近隣対応だ。解体工事は音も埃も出るため、近隣トラブルになりやすい。

実際には、着工前の近隣への挨拶回りはMUSUBIが事前に行ってくれた。さらに「年末までに足場を設置し、解体作業は年明けから」という段取りも、解体途中の半壊状態で正月を迎えさせない近隣配慮を踏まえたものだった。自己手配でも、プロに頼めば近隣対応は欠けない。これは実際にやってみて分かった大きな安心材料だ。

工事自体は速かった。1月5日に着工し、建物本体の解体はほぼ1日で終了。瓦礫の分別・搬出・基礎撤去・整地に数日かけて、1月10日に完工した。

想定外はやはり来た:地中埋設物

解体完工後、地中から埋設物が見つかった。大半は古いコンクリート基礎の残骸で、量は3トントラック3台分。これを撤去しないと新しい家の基礎工事に進めない。

ここで効いたのが事前の備えだった。近隣の工事の話から埋設物が出る可能性は高いと予想しており、契約前にMUSUBIの社長へ「発見時点ですぐ見積を提出する」という約束を取り付けていた。実際の見積提示はスムーズで、数量と単価が明確に示された透明なものだった。撤去費用は数十万円。発注から完工まで1週間足らずで処理された。

解体業界には、外から埋設物を持ち込んで費用を水増しする業者もいると聞く。古い土地の建て替えでは、埋設物の「有無」より「出たときに誠実に対応する業者かどうか」を先に確認しておくべきだ、というのが実体験からの教訓だ。

顛末の詳細は 第30章 解体〜地中埋設物 に書いた。

解体後の手続き:滅失登記は自分で申請できた

解体が終わったら、建物滅失登記が必要になる。これを済ませないと新しい建物の建築も登記もできず、登記ができなければ住宅ローンも組めない。地味だが、建て替えを完結させるために避けて通れない工程だ。

滅失登記は土地家屋調査士などに依頼できるが、調べると手続き自体は難しくなく、費用削減のため自分で申請した。結果、仕事の合間に進められる程度の負荷で済んだ。当家では地目が「雑種地」のままになっている問題も同時に見つかり、地目変更登記もあわせて自分で行った。

申請書類の実際や、法改正で不要になった添付書類の話は 第31章 滅失登記 にまとめた。

まとめ:自己手配が向く人・向かない人

実体験からの整理だ。

向いている人

  • 解体費用を数十万円単位で抑えたい
  • 業者とハウスメーカーの間の日程調整を自分でやれる
  • 平日に訪問見積もりへ立ち会う時間を確保できる

向いていない人

  • 窓口を一本化して手間を最小にしたい
  • 多少割高でもハウスメーカーの一括管理の安心を優先したい

自己手配でも、審査制の一括見積サービスを入口にすれば、業者選びのリスクはかなり抑えられるというのが結論だ。私の場合、ハウスメーカー経由との差額数十万円は、見積3社の比較と数回の日程調整で取りに行けた金額だった。

この記事の要点(3行)

  • 築60年木造の解体費用は約120万円+残置物約15万円+地中埋設物撤去数十万円
  • 審査制の一括見積で3社比較し自己手配、ハウスメーカー経由より数十万円安く済んだ
  • 近隣挨拶は業者が対応、滅失登記は自分で申請して費用を抑えた

関連章:第24章 着工スケジュールを組む第25章 解体業者選定第30章 解体〜地中埋設物第31章 滅失登記