注文住宅

工事・実務

躯体工事と上棟確認会

基礎工事が完了した翌日、3月1日に足場が設置された。足場が現場を覆うと、なんだか家の骨組みがすでにできたような気分になる。気持ちが盛り上がってくる。ここから約3週間、躯体工事(建て方工事)が行われ、3月23日に上棟確認会を迎えることになる。3月2日、土台伏せ基礎の上に建物を載せるための最初の工程が、土台伏せだ。基礎コンクリートの立上りの上に、まず基礎パッキンが置かれる。床下を乾燥させるための通気層を確保する部材だ。その上に、土台となる木枠が組まれ、さらにその上に構造用合板が貼られる。土台の木材には防腐・防蟻処理材が使われる。土台の木材と構造用合板、そしてこれから組み上がる壁の木部の内外には、地上1.5mの高さまで防腐・防蟻処理が施されるそうだ。床下の湿気対策と、白蟻への備え。見えなくなる部分だが、住宅の寿命を左右する重要な処理である。基礎の上に置かれた基礎パッキン(黒い櫛状の部材、厚さ20mm)。その上に防腐・防蟻処理された土台の木枠(厚さ80mm)、さらに構造用合板(厚さ28mm)が載せられる床下断熱材土台伏せと同日、床下断熱材の施工も行われた。施工の瞬間を見学できなかったのは残念だ...
工事・実務

カーテンプラン

基礎工事が粛々と進むなか、並行して進めていたのがカーテンプランの検討だった。工事現場では職人が黙々と作業を進めている。一方、施主である自分にできるのは、内部のインテリアを決めていくこと。毛色の違う、少し華やかな検討フェーズが、このタイミングでやってくる。インテリアの中でもカーテンは、少し特殊な位置にある。カーテンレールは内部造作工事に関係するし、色合いや機能は住宅設計に重要な意味合いがあるので、IC担当が積極的に関わる領域だ。もちろん、施主が自身でカーテン本体を購入することは可能だが、カーテンレールはICに発注することが基本となる。カーテン検討のタイミングカーテンの検討タイミングには、他のIC項目と違う事情がある。第19章で書いたICの初期打ち合わせでは、カーテンは決めていない。着工会の仕様書にも含まれていなかった。カーテンは工事が始まってから、現場の骨組みが立ち上がる前後に詰めるのが一般的な流れだからだ。ただし、上棟会までには決めておく必要がある。上棟会にはIC担当も同席し、間取りの立体的な確認に参加するため、そこでカーテンプランも最終確定させる。カーテンレールの長さ、レールのタイプ...
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第34章 基礎工事

2月5日、基礎工事が着工した。住友不動産の建築工程のなかで、最も時間をかけて行われる工程だ。この先、約1ヶ月をかけて、家の土台となる基礎が作られていく。なぜ基礎に1ヶ月もかけるのか基礎工事は、建築本体工事の前段階という位置づけで、住友不動産の建築チームとは別の、専門の基礎屋さん(小島土木)が施工を担当する。1ヶ月という工期を最初に聞いたとき、正直、長すぎないか、と感じた。建物本体の建て方工事が3週間であることを考えると、基礎のほうが長いのか、と。しかし、契約前に営業担当から聞いていた話を思い出した。「住友不動産の注文住宅は、基礎に時間をかけます。作業もしっかり行うし、検査も徹底的に行う。当社でも建売住宅の場合は、ここまで時間をかけません」注文住宅と建売住宅で基礎工事の時間のかけ方を変えている、という事実は、契約前の比較検討段階で大きな印象を残していた。基礎は、家が建った後は見えなくなる部分だ。ここで手を抜くメーカーと、時間とコストをかけて丁寧に施工するメーカー。その差は、数十年後の建物の状態に現れる。1ヶ月という工期は、「しっかりした家を建てる」という意思の表れなのだ、と納得して工事を...
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第33章 地盤改良と仮囲い

地縄確認会と着工会を終え、仕様が完全に確定した。次は、物理的な建築の開始だ。まず動くのは地盤の補強――地盤改良工事。そして、工事期間中の近隣配慮と安全確保のための仮囲い設置。建物の骨格が立ち上がる前の、「家を支える下地を整える」段階である。1月23日、地盤調査報告書の受領1月23日、前章で触れた地盤調査(1月20日実施)の報告書を受領した。結果は、想定していたより地盤は緩くはないが、やはり改良は必要、というものだった。報告書の所見によると、沖積面の厚い盛土地盤では、盛土の収縮変形や盛土荷重による旧地盤の圧密が長期にわたって進行する可能性がある。そのためスラブの強化や地盤補強を含めて、安全側の対応が望ましい、とのこと。最終的な仕様は、4メートル×13本、7.3メートル×5本の鋼管を地盤に打ち込んで補強する、という形に決まった。費用は約100万円。想定より10万円安く済んだ。鋼管の本数が増えると費用が跳ね上がると聞いていたので、結果が出るまでは正直ヒヤヒヤしていた。地盤は開けてみないとわからない部分が大きい領域だけに、見積の範囲内に収まったことは大きな安心材料だった。地盤改良の工法について...
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第32章 地縄確認会・着工会

建て替えプロジェクトは、ついに「建てるフェーズ」に入る。1月下旬、連続する工程を1週間刻みで消化していくことになった。その最初が、地盤調査と地縄確認会、そして着工会だった。地盤調査基礎工事に入る前に、まず土地の性質を調べる必要がある。1月20日、住友不動産の工事監督と、委託先である株式会社アーバン企画の担当者が現地で地盤調査を実施した。調査方法は、スクリューウエイト貫入試験(JIS A 1221)。ロッド(鋼棒)を地中に回転させながら貫入させ、地盤の硬さを測定する方法だ。調査時間は半日程度、立ち会いはしていない。この地域の地盤については、契約前の初回訪問時に営業担当から説明を受けていた。「この地域は、河川に近い低地を盛土によって宅地化した造成地盤です。盛土の部分は地盤が軟弱になりやすく、地盤改良――数メートルの鋼管を埋め込んで硬い地盤に到達させ、地盤を安定化させる施工――が必要になる可能性が高いです」初回訪問の時点から地盤条件を把握し、概算見積にも地盤改良費用を含めて提案してくれる姿勢は、住友不動産を選んだ理由のひとつでもあった。調査結果の詳細と、それに基づく地盤改良の仕様については、...
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第29章 建築許可申請の遅延

10月中旬、夜。携帯が鳴った。住友不動産の営業担当からだった。用件はひとつ。建築許可申請が難航している、というものだった。市の審査に出した書類に対して、何度も大幅な書き直しを求められている。設計の一部にも修正要求が出ている。営業担当の見立てでは、住友不動産の設計は建築基準に合致しており、市の要求は市独自の見解に基づくものとのことだった。11月に予定されていた建築審査会には、このままでは間に合わない。おそらく12月以降にずれ込む――そういう電話だった。受け止められなかった電話を切ってから、しばらく動けなかった。10月中旬という時期は、プロジェクト全体のなかで一番気分が高揚していた頃だった。ハウスメーカーを住友不動産に決め、仕様がほぼ固まり、仮住まい先の申込みも終え、解体業者も決まっていた。すべてが計画通りに進んでいる手応えがあった。そこに降ってきた、この報せ。引き渡しは5月1日の予定だ。そこに間に合うのか。間に合わないとしたら、どれくらいずれ込むのか。仮住まいの家賃は契約期間を延ばす必要があるのか。解体業者MUSUBIのスケジュールはどう組み直すのか。頭の中で、ぐるぐると不安が回った。正...
工事・実務

仮住まい先選定

解体業者の選定と並行して、仮住まい先の選定も動いていた。半年近く、慣れない場所で暮らすことになる。どこに、どんな家を借りるか。ここで快適さが下がると、建て替え期間中ずっとストレスを抱えることになる。とはいえ、選びすぎて決まらないのも困る。12月解体予定なので、11月中には入居している必要があった。日本テンポラリーハウス仮住まいは、住友不動産の紹介で「日本テンポラリーハウス」という会社に相談することにした。ここは、建て替えやリフォーム期間中の仮住まい専門の紹介会社だ。普通の賃貸仲介と違って、短期契約が前提。建て替えの工程に合わせて入居・退去日を調整してくれる。敷金礼金の扱いも、通常の賃貸より柔軟なことが多い。9月25日、電話で相談を入れた。こちらの住所は住友不動産から連携されていて、担当者はすでに周辺エリアの物件情報を把握していた。その日のうちに、候補物件の資料がメールで届いた。仕事が速い。10月1日、渋谷のカフェで担当者と打ち合わせ。30代くらいと思われる女性の担当者で、経験豊富な積極的な応対だった。内見から申込み、入居までの流れを一通り説明してもらう。良い物件は早く埋まるので、早めに...
工事・実務

解体業者選定

解体工事は、自分で業者を手配することに決めていた。ハウスメーカーに一括で委託すれば品質面や進行管理面では安心だが、費用が相当割高になるという話をあちこちで聞いていた。中間マージンが乗るからだ。住友不動産からも解体を含めた見積もりは出ていたが、ここを切り離して自分で発注すれば、数十万円単位で費用を下げられる可能性がある。住友不動産には、自分で解体業者を手配する方針を事前に伝え、了承を得ていた。ハウスメーカー選定前、7月下旬の段階で、すでに解体業者への見積もり取得を始めていた。プロジェクト全体の費用感を掴むためだ。建て替えの総額は、本体工事費だけで決まるものではない。解体、外構、登記、仮住まい、引っ越し、家具家電。すべてを合計してはじめて本当の予算がわかる。解体業者選びの難しさとはいえ、解体業者選びは怖い世界でもある。調べれば調べるほど、トラブル事例が出てくる。業者選びを失敗すると、想定外の追加工事費、近隣からのクレーム、場合によっては訴訟にまで発展することもある。悪徳業者にあたって、本来不要な費用を請求されたという話も珍しくない。しかも、優良な解体業者を自分で見つけるのは、かなり大変だ。...
設計・契約

着工スケジュールを組む

仕様決定は順調に進んでいた。8月に契約を結び、9月に入ってからは間取りの詳細を詰め、ICとの打ち合わせも始まっていた。この調子なら11月中旬には仕様が確定するだろう、という見通しが立ってきた。仕様が固まれば、次は工程だ。9月中旬、営業担当との打ち合わせで、着工スケジュールの策定に入った。こちらの希望はひとつ、「契約から最短日程で」。とにかく早く新しい家での生活に移りたかった。築60年の実家で長年見てきた不具合を、一日でも早く過去のものにしたい。その一心だった。建築許可申請という前段当家の居住地域は少し複雑な事情があり、通常の建築確認申請の前に「建築許可申請」という手続きが必要だった。建築許可が下りてはじめて、建築確認申請に進める。解体工事も、許可が下りてからでないと着手できない。この事情は地域限定の話なので、これから建て替えを検討する多くの人には関係がない。ただ、自分の土地がどういう地域指定を受けているか、事前に確認しておいたほうがいい、という学びはあった。都市計画や景観条例の関係で、通常の手続き以外のステップが必要になる土地は、意外と多い。ありがたかったのは、住友不動産の営業担当がこ...
設計・契約

こだわりのポイント・外壁

外壁は、家の印象を決める。屋根と違って、道を歩く人の目に毎日さらされる部分だ。色が褪せれば古ぼけて見えるし、汚れが目立てば手入れをしていない家に見える。20年後、30年後にどう見えているかを考えると、ここは妥協したくない部分だった。住友不動産の注文住宅では、外壁の標準仕様がケイミュー社の「光セラ」シリーズになっている。最初にこの話を聞いたときは、正直そこまで関心はなかった。サイディングなんてどこのメーカーでも似たようなものだろう、くらいの感覚だった。それが変わったのは、住友不動産の「住まいるフェア」に見学に行ったときだ。会場のケイミューのブースに光セラの実物が展示されていて、担当の方が詳しく説明してくれた。話を聞けば聞くほど、これはただのサイディングではないことがわかってきた。帰宅してからYouTubeでケイミュー社の動画や、住宅関連業界で光セラを扱っている動画を見まくって勉強した。光セラとは何か光セラは、窯業系サイディング基材(セメント+パルプ等)に、光触媒コーティングとセラミックコーティングを二重に施した外壁材だ。光触媒というのは、紫外線を浴びると表面に強力な酸化力を生んで、付着し...