第21章 こだわりのポイント・断熱性能

住友不動産の初回訪問で、断熱性能について詳しい説明を受けた。5社を比較する中でもこの点は重点的に確認した。近代建築の断熱性能は、築60年の家とは比べ物にならない

この記事では、断熱性能をどう考えて仕様を決めたか、そして2年住んだ結果どうだったかを書く。

  • 断熱性能の基準(UA値・ZEH)と我が家の仕様
  • 窓・玄関ドア・断熱材で選んだ製品
  • 入居2年の体感——夏と冬のエアコンの効き
  • 電気代・ガス代がどれだけ下がったか

断熱性能の基準

断熱性能を示す指標はUA値(外皮平均熱貫流率)だ。数値が小さいほど断熱性能が高い。住友不動産のツーバイフォー工法のUA値は0.46で、国の省エネ基準(平成28年基準)の0.87を大きく上回る。

ZEH基準の0.60も上回っている。断熱性能が高ければ、冷暖房コストも抑えられる。住友不動産によれば、国の省エネ基準と比較して年間の冷暖房費を約21%削減できるという。

また断熱性能だけでなく、遮熱への対応も重要だ。地球温暖化による猛暑日の増加を踏まえ、住友不動産では透湿・防水・遮熱シートを標準採用している。熱カット率98.8%という高い遮熱性能を持つセーレン社の「ラミテクト プレミアムサーモ」で、夏の暑さを壁の外側で遮断する仕組みだ。

開口部の断熱

断熱性能を語る上で見落とせないのが開口部だ。窓と玄関ドアは外気が直接出入りする場所であり、断熱上の弱点になりやすい。

窓サッシ:YKKap APW330

YKKap APW330 樹脂サッシの実物(当家の窓)

樹脂フレームとLow-E複層ガラス(アルゴンガス入)を組み合わせた高性能樹脂窓で、熱貫流率は1.31W/(㎡・K)。省エネ建材等級の最高ランク(★★★★)を取得している。

室内側フレームとガラスが冷たくなりにくく、結露を抑える効果もある。南向きと西向きで日射取得型・日射遮蔽型を使い分けられるのも特長だ。

玄関ドア:YKKap イノベストD50

YKKap イノベストD50 玄関ドアの実物(当家)

高断熱玄関ドアの上位グレードで、熱貫流率は1.55W/(㎡・K)以下。70mm厚の高性能断熱パネルと採光部のトリプルガラスにより、一般的な玄関ドアの平均値(約4.0)と比較して格段に高い断熱性能を持つ。躯体と玄関ドアの断熱ラインを揃えた設計で、開口部からの熱損失を最小限に抑える。

断熱材の仕様(当家)

搬入された断熱材(グラスウール)

断熱材は高性能グラスウール(マグ・イゾベール社「イゾベールスタンダード」24K)を採用した。部位ごとの仕様は以下のとおりだ。

天井:断熱材105mm×2層+防湿シート(ベーパーバリア)0.1mm

壁:サイディング→透湿・防水・遮熱シート→構造用パーティクルボード→断熱材89mm→防湿シート→石膏ボード→クロスという構成。外側で遮熱しながら、内側で断熱・防湿を確保する。

床:高性能グラスウール32K 80mm。天井・壁より密度の高い素材を使い、地面からの冷気を遮断する。

壁に施工された断熱材(グラスウール)

防湿シート(ベーパーバリア)は室内側の湿気侵入と結露を防ぐポリエチレン製フィルムだ。断熱材の性能を長期間維持し、住宅の長寿命化に貢献する。

断熱性能への向き合い方

住み始めてからの快適さと光熱費に直結するのが断熱性能だ。築60年の家では、冬の寒さと夏の暑さをそのまま室内で感じていた。

新しい家では、壁の中の構造から根本的に変わる。数値や仕様の一つひとつを確認していく中で、その違いを実感していった。

入居して2年——断熱性能の答え合わせ

まず、我が家の数値を書いておく。設計段階で計算し、完成後に最終計測した値は、UA値0.62だった。住友不動産の標準は0.46なので、そこには届いていない。断熱等性能等級5の基準にも0.02足りなかった。

理由は家の形にある。UA値は、家全体から逃げる熱を外皮の総面積で割った値だ。つまり部位ごとの性能を面積で加重平均している。我が家は狭小地に建てた家で、小さな平面を高さで補った形をしている。すると断熱性能の高い天井や床の比率が小さくなり、比較的性能の低い外壁の比率が大きくなる。同じ仕様で建てても、形によって数値は変わる。

等級5に届かせることもできた。トリプルガラスやダブル断熱(付加断熱)を入れれば数値は上がる。ただ東京の住宅では過剰設備で、予算も超える。UA値0.6前後を確保できていれば実用上は十分だと判断した。

2024年6月の入居から、夏を2回、冬を2回経験した。断熱にこだわった結果がどうだったか、答え合わせを書く。

もうひとつ、UA値だけを見ていると分からない数値がある。ηAC値(冷房期平均日射熱取得率)だ。夏に日射が外皮からどれだけ室内に入るかを表す指標で、小さいほど夏に強い。我が家は1.7だった。等級5の基準が2.8なので、基準の6割程度に抑えられている。日射遮蔽型のLow-Eガラス、遮熱塗装の屋根材、遮熱シートの外壁下地——この組み合わせが効いている。UA値が「温度差で逃げる熱」なら、ηAC値は「日射で入る熱」を表す。夏の暑さを気にするなら、こちらも見ておくといい。

夏——エアコンがすぐ効く

入居直後の6月は、エアコンなしで過ごせた。本格的に暑くなってからも、エアコンをつけるとすぐ効き、むしろ涼しすぎるくらいになる

旧居はエアコンをつけてもなかなか冷えず、暑さを常に感じて、1日に何枚もシャツを着替えていた。今はそれがない。

冬——エアコンだけで暖かい

冬はエアコンだけで暖かい。旧居ではガスストーブを併用していたが、新居では使っていない。

光熱費——電気4割減・ガス半分以下

ランニングコストは、旧居と比べてこう変わった。

  • 電気代:4割以上の削減
  • ガス代:半分以下(ガスストーブが不要になったことと、給湯器の進化)

これは断熱構造だけの効果ではなく、家の断熱構造と住宅設備の進化が合わさった結果だ。ただ、築60年の家からの建て替えなら、断熱は「快適さ」だけでなく「毎月の固定費」に直結する。仕様を決める段階で知っておいてよかったと、2年住んで思う。

次章では、空調と住宅設備のこだわりについて書く。

訪問した5社の断熱仕様を並べて比べた記録と、我が家のUA値が標準に届かなかった理由は別の記事にまとめた。


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