外壁は、家の印象を決める。
屋根と違って、道を歩く人の目に毎日さらされる部分だ。色が褪せれば古ぼけて見えるし、汚れが目立てば手入れをしていない家に見える。20年後、30年後にどう見えているかを考えると、ここは妥協したくない部分だった。
住友不動産の注文住宅では、外壁の標準仕様がケイミュー社の「光セラ」シリーズになっている。最初にこの話を聞いたときは、正直そこまで関心はなかった。サイディングなんてどこのメーカーでも似たようなものだろう、くらいの感覚だった。
それが変わったのは、住友不動産の「住まいるフェア」に見学に行ったときだ。
会場のケイミューのブースに光セラの実物が展示されていて、担当の方が詳しく説明してくれた。話を聞けば聞くほど、これはただのサイディングではないことがわかってきた。帰宅してからYouTubeでケイミュー社の動画や、住宅関連業界で光セラを扱っている動画を見まくって勉強した。
光セラとは何か
光セラは、窯業系サイディング基材(セメント+パルプ等)に、光触媒コーティングとセラミックコーティングを二重に施した外壁材だ。
光触媒というのは、紫外線を浴びると表面に強力な酸化力を生んで、付着した有機物や細菌を分解する環境浄化材料のこと。この光触媒コーティングには、もうひとつ重要な性質がある。「超親水性」だ。撥水ではなく親水。雨水が表面にペターっと濡れ広がって、分解された汚れの下に入り込み、汚れを浮き上がらせて洗い流す。
雨水の力で汚れを洗い流す外壁材は他にもある。しかし、光触媒の力で汚れを「分解」した上で雨水で洗い流す、この二つの力を併せ持つ外壁材を展開しているのは、今のところケイミューの光セラだけらしい。
ただ、光触媒だけだと問題がある。紫外線が当たればサイディング基材自体が色褪せてしまうし、水を通せば素材を侵食してしまう。そこで下地にセラミックコーティングを施し、基材自体には紫外線や水を通さない仕組みになっている。
改良版の「光セラ18」はさらに最下層に「高耐候性コート」を加えたトリプルコーティングで、耐候性の有効期間40年(同社公表)を実現した。
20年前に建てた家の外壁がほとんど色褪せていない実績があるそうで、確かな技術であることがわかる。
質感に驚いた
サイディングの凹凸はプレス加工または押出加工で作られる。色彩と素材感は塗装、つまり印刷技術によるものだ。インクジェット塗装(単色/フルカラー)、凸版フレキソ塗装、凹版グラビア塗装、平版ローラー塗装。複数の印刷技術を駆使して、色調と素材感を表現している。
実際に見本を手にすると、その質感に感心する。
表面に三層のコーティングをすると、常識的には基材や塗装顔料の質感が無くなって、コーティングのツルツル感(マットならザラザラ感)だけが残りそうなものだ。ところが、コンクリートやレンガなどの質感そのものがリアルな手触りとなっている。これには本当に驚いた。完全にオタク心に火がついてしまった。
ちなみにケイミューという会社は、外装材メーカーのクボタと松下電工(現在のパナソニック)の住宅外装建材部門が2003年に統合して設立された会社だ。光セラは2002年に初めて発売され、2017年にリニューアルされた「新生・光セラ」が登場、2021年からは高耐久な「光セラ18」シリーズが展開されている。
当家で採用したもの
ベース部分に採用したのは「フィエルテ・光セラ16 チタンコンクリート」。厚さ16mmの高性能窯業系サイディングで、30年品質の超高耐候性を持つ。
アクセントに採用したのは「ネオロック・光セラ18 アルティエ オーバルストーン NH5704U QF オピリチタンブラック」。光セラ18は光セラ16より厚みが2mm増し、深みのあるデザインと40年品質の超高耐候性を実現した上位モデルだ。
なぜ16と18を使い分けたのかというと、正直に言えば「たまたま選んだデザインがそれぞれ16と18のシリーズだった」だけのことだ。ベースに使いたかったフィエルテが光セラ16、アクセントに使いたかったオーバルストーンが光セラ18だった。結果として、耐久性の高いほうが目立つ部分に入ることになり、悪くない配分になった。
色の決定
色合いは、早い段階で決めていた。モノトーンで、ベースはチタンコンクリート、アクセントはチタンブラック。
今回選んだ商品はやや珍しい部類に入るのと、完全なモノトーンということもあって、少し暖色が入ったオーソドックスな組み合わせとは最後まで迷った。無難な配色にすれば周囲の街並みに馴染むし、飽きも来ない。一方でモノトーンはキリッとした印象になるが、20年後に古臭く見えないかという不安もある。
最終的にモノトーンを選んだのは、ハウスメーカー選定の段階で住友不動産が初回に示してくれた完成予想図がよかったからだ。水彩画で描かれたもので、その仕上がりイメージがとてもよく、これをベースに検討を進めることにした(詳しくは第19章に書いた)。
アクセントの配置
アクセント材を入れる位置は、家の正面の中央部(1階〜2階を縦に貫く形)とバルコニーの外側に決めた。
これはICと設計担当からの提案だった。自分ひとりで考えていたら、全面をベース材一色にするか、もっと中途半端な位置にアクセントを入れてしまっていたかもしれない。正面中央を縦に走らせることで家に軸ができ、バルコニーに回すことで立体感が出る。プロの提案は、やはり違う。
完成した家を見上げて
そして、完成した家を実際に自分の家として見上げたときの感想。
思い描いていた通りの仕上がりだった。ただ、図面やパースで見ているのと、実物の家として目の前に立っているのとでは、やはり迫力が違う。壮観、という言葉がしっくりくる。
周りの家と見比べても、一番格好良い。
身びいきなのは承知の上だが、何社も比較して、何度も打ち合わせを重ねて、自分で素材を調べて納得して選んだ家だ。格好良く見えて当然だとも思う。
外壁は、これから何十年もこの家の顔であり続ける。光セラのセルフクリーニング機能が本当に公称通りに働くのかは、10年後、20年後の自分が確かめることになる。楽しみに待ちたい。