注文住宅の耐震は壁倍率で見る|等級3が同じでも中身は違った

私が55歳で築60年の実家を建て替えた記録から、「耐震性能をどう比べたか」の話をまとめる。

5社を訪問して聞いた耐震等級は、全社が「3を取得できる」だった。数字では差がつかない。

では何を見れば差が分かるのか。答えは工法と、壁の強さを表す壁倍率だった。

上棟中の建物。枠材と面材が一体化した壁パネルで組み上げられている
枠材と面材が一体化した壁パネルで組み上げる。ツーバイフォー(厚さ2インチ・幅4インチ)の枠材を、455mmの間隔で面材に打ち付けている

この記事の要点

  • 耐震等級3は各社に共通するが、中身(工法)が違っていた
  • ツーバイフォー(枠組壁工法)は壁そのものが構造体で、力を壁全体で受ける
  • 軸組は柱で受けるため、接合部の金物に力が集中する
  • 壁の強さは壁倍率という数値で表され、面材の種類と釘の打ち方で決まる
  • 当家の耐力壁は壁倍率4.8倍。枠組壁工法の標準(3.0倍)を大きく上回る

ツーバイフォーだったのは1社だけだった

訪問した各社は、耐震の説明でよく似た言葉を使った。「面で支えるので地震に強い」。

私はこれを聞いて、一建設以外の4社は同じツーバイフォー工法だと理解していた。後から各社の公式情報を確認し直して、それが違うと分かった。

会社工法
住友不動産ツーバイフォー(枠組壁工法)
タマホーム木造軸組在来工法+耐力面材
東栄住宅在来軸組+構造用面材+筋交い
桧家住宅ハイブリッド工法(在来軸組+耐力面材)
一建設在来軸組

ツーバイフォーを採用しているのは住友不動産だけで、他の3社は在来軸組に耐力面材を組み合わせた工法だった。だから「面で支える」という説明はどの社も間違ってはいない。ただし、面材が担っている役割が違う。

壁が構造体になる工法と、柱が支える工法

ツーバイフォーは、柱と梁の骨組みを組む代わりに、壁パネルで建物を作る。枠材と面材が一体化したパネルそのものが構造体で、床・壁・屋根が連続した六面体になる。

地震の揺れは、壁全体で分散して受け止められる。

一方、軸組は柱と梁が建物を支える。地震の力は柱が受け、梁へ、そして接合部へと伝わる。力が接合部という一点に集中するため、そこを留める金物が耐震性を左右する。

面材を全周に貼って床を固めた軸組は、六面体にかなり近づくといわれる。桧家住宅のハイブリッド工法やタマホームの耐力面材は、それを狙ったものだろう。

ただし完全に同じにはならない。差が出るのは、階が積み上がる部分だ。

ツーバイフォーは床が壁を物理的に挟み込む形で箱が積み上がる。軸組は各階の力が仕口という「点」を経由する。ここが締結部(金物)への依存になる。

この違いは、耐震性が何によって決まるかの違いになる。

軸組に面材を組み合わせた工法は、金物を締結する精度、つまり現場の施工で耐震性が確保される。

締結の精度が足りないと、地震のたびに接合部へ負荷がかかる。揺れを重ねるうちに緩みが進み、そこが起点となって倒壊に至る危険が高まる。

これに対してツーバイフォーは、設計の段階で耐震性が決まる。

どちらが地震に強いかは一概に言えない。ツーバイフォーは実際の設計次第、軸組+面材は現場の施工次第だからだ。

私は、現場の施工に依存せず、設計が標準化されている住友不動産のツーバイフォーを選んだ。

壁の強さは「壁倍率」で表される

工法の話は分かった。では自分の家の壁がどれだけ強いかは、どこを見れば分かるのか。

壁倍率という数値がある。

地震や台風のような横からの力に耐える壁を耐力壁と呼び、その強さを基準となる壁の何倍かで表したものが壁倍率だ。0.5から最大5.0まで設定されていて、数値が大きいほど強い。

この数値は、面材の種類と釘の打ち方で決まる。

当家の耐力壁は、壁倍率4.8倍だった

当家の仕様を書いておく。上棟のときに現場で実物を確認したものだ。

面材:構造用パーティクルボード「novopan STPⅡ」9mm

一般的なツーバイフォーでは構造用合板9mmが標準になる。パーティクルボードはその上位にあたる選択だ。

構造用パーティクルボードnovopan STPⅡの板面。くぎピッチと壁倍率の一覧が印字されている
板面には製品名と認定表示のほか、くぎ種別CN50と、釘ピッチ・壁倍率の組み合わせが印字されている。標準は外周100mmで壁倍率3.0倍、高倍率は外周50mmで4.8倍

この製品は木造軸組工法・枠組壁工法の耐力壁として国土交通大臣認定を取得しており、告示1540号が指定する「構造用パーティクルボード」に該当する。面材に求められるせん断剛性は、合板の2倍以上とされている。いわゆる「耐力壁」である。

釘の打ち方:外周部50mmピッチ

壁倍率は釘のピッチで変わる。枠組壁工法での標準は釘ピッチ外周100mmで、このとき壁倍率は3.0倍になる。

当家は外周部を50mmピッチで打っている。釘の数が倍になり、壁倍率は4.8倍になる。

同じ面材を使っても、釘の打ち方で壁の強さが1.6倍変わるということだ。

上棟確認会では、実際の釘のピッチとパーティクルボードを自分の目で見た。面材には釘ピッチと壁倍率が印字されていて、指定どおりに打たれているかを現場で確認できる。

パネル端に沿って密に打たれた釘。印字されたネイルマークと一致している
パネルの合わせ目に沿った釘列が、印字されたネイルマークの破線と一致して密に並ぶ。外周50mm・中通200mmの高倍率仕様であることを上棟会で確認した

等級3の先に何があるか

耐震等級3は、建築基準法が定める地震力の1.5倍に耐えるという到達点の表示だ。5社とも取得できると答えた以上、そこでは差がつかない。

差が出るのは、そこへどうやって届かせるかである。

ツーバイフォーで設計段階から壁の強さを決めるのか、軸組+面材で現場の施工精度に委ねるのか。また、面材には何を使い、釘を打つピッチ(壁倍率)をどこに設定するのか。

私が住友不動産を選んだのは、耐力壁(パーティクルボード)の仕様と釘の密度(50mmピッチ)が設計仕様として標準化されていたからだ。設計図を確認し、上棟会の現場でそのとおりの仕様になっていることを目視することで、耐震性に対して信頼することができた。

これから比べる人へ

耐震について聞いておくとよいことを挙げる。

  • 工法は何か。「面で支える」という説明はどの工法でも使われる。ツーバイフォー(枠組壁工法)なのか、軸組に面材を足したものなのかを確認する
  • 壁倍率はいくつか。標準仕様で何倍か、上げる方法があるか
  • 面材は何を使うか。構造用合板か、パーティクルボードか
  • 釘のピッチはいくつか。壁倍率はここで決まる

工法を聞いたら、その工法に即した対策が取られているかを確認する。

ツーバイフォーなら、設計段階で壁倍率がどう設定されているかを聞く。軸組+面材なら、接合部の金物と施工品質をどう担保しているかを聞く。工法によって、確認すべき場所が変わる。

ここに挙げた項目は、各社に聞かなければ分からない。複数社の資料をまとめて集める方法は別の記事に書いた。

まとめ

  • 耐震等級3は各社に共通するが、中身(工法)が違っていた
  • ツーバイフォーは壁パネルが構造体で力を壁全体に分散する。軸組は柱が受けて接合部に集中する
  • 軸組+面材は現場の施工で、ツーバイフォーは設計で耐震性が決まる
  • 壁の強さは壁倍率で表され、面材の種類と釘のピッチで変わる
  • 当家は構造用パーティクルボード9mm+外周50mmピッチの釘打ちで、壁倍率4.8倍。枠組壁工法の標準(3.0倍)を大きく上回る

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