住友不動産の初回訪問で、断熱性能について詳しい説明を受けた。
5社を比較する中でもこの点は重点的に確認した。
近代建築の断熱性能は、築60年の家とは比べ物にならない。
この記事では、断熱性能をどう考えて仕様を決めたか、そして2年住んだ結果どうだったかを書く。
- 断熱性能の基準(UA値・ZEH)と我が家の仕様
- 窓・玄関ドア・断熱材で選んだ製品
- 入居2年の体感——夏と冬のエアコンの効き
- 電気代・ガス代がどれだけ下がったか
断熱性能の基準
断熱性能を示す指標はUA値(外皮平均熱貫流率)だ。
数値が小さいほど断熱性能が高い。
住友不動産のツーバイフォー工法のUA値は0.46で、国の省エネ基準(平成28年基準)の0.87を大きく上回る。
ZEH基準の0.60も上回っている。
断熱性能が高ければ、冷暖房コストも抑えられる。
住友不動産によれば、国の省エネ基準と比較して年間の冷暖房費を約21%削減できるという。
また断熱性能だけでなく、遮熱への対応も重要だ。
地球温暖化による猛暑日の増加を踏まえ、住友不動産では透湿・防水・遮熱シートを標準採用している。
熱カット率98.8%という高い遮熱性能を持つセーレン社の「ラミテクト プレミアムサーモ」で、夏の暑さを壁の外側で遮断する仕組みだ。
開口部の断熱
断熱性能を語る上で見落とせないのが開口部だ。
窓と玄関ドアは外気が直接出入りする場所であり、断熱上の弱点になりやすい。
窓サッシ:YKKap APW330

樹脂フレームとLow-E複層ガラス(アルゴンガス入)を組み合わせた高性能樹脂窓で、熱貫流率は1.31W/(㎡・K)。
省エネ建材等級の最高ランク(★★★★)を取得している。
室内側フレームとガラスが冷たくなりにくく、結露を抑える効果もある。
南向きと西向きで日射取得型・日射遮蔽型を使い分けられるのも特長だ。
玄関ドア:YKKap イノベストD50

高断熱玄関ドアの上位グレードで、熱貫流率は1.55W/(㎡・K)以下。
70mm厚の高性能断熱パネルと採光部のトリプルガラスにより、一般的な玄関ドアの平均値(約4.0)と比較して格段に高い断熱性能を持つ。
躯体と玄関ドアの断熱ラインを揃えた設計で、開口部からの熱損失を最小限に抑える。
断熱材の仕様(当家)

断熱材は高性能グラスウール(マグ・イゾベール社「イゾベールスタンダード」24K)を採用した。
部位ごとの仕様は以下のとおりだ。
天井:断熱材105mm×2層+防湿シート(ベーパーバリア)0.1mm
壁:サイディング→透湿・防水・遮熱シート→構造用パーティクルボード→断熱材89mm→防湿シート→石膏ボード→クロスという構成。
外側で遮熱しながら、内側で断熱・防湿を確保する。
床:高性能グラスウール32K 80mm。
天井・壁より密度の高い素材を使い、地面からの冷気を遮断する。

防湿シート(ベーパーバリア)は室内側の湿気侵入と結露を防ぐポリエチレン製フィルムだ。
断熱材の性能を長期間維持し、住宅の長寿命化に貢献する。
断熱性能への向き合い方
住み始めてからの快適さと光熱費に直結するのが断熱性能だ。
築60年の家では、冬の寒さと夏の暑さをそのまま室内で感じていた。
新しい家では、壁の中の構造から根本的に変わる。
数値や仕様の一つひとつを確認していく中で、その違いを実感していった。
入居して2年——断熱性能の答え合わせ
まず、我が家の数値を書いておく。
設計段階で計算し、完成後に最終計測した値は、UA値0.62だった。
住友不動産の標準は0.46なので、そこには届いていない。
断熱等性能等級5の基準にも0.02足りなかった。
理由は家の形にある。
UA値は、家全体から逃げる熱を外皮の総面積で割った値だ。
つまり部位ごとの性能を面積で加重平均している。
我が家は狭小地に建てた家で、小さな平面を高さで補った形をしている。
すると断熱性能の高い天井や床の比率が小さくなり、比較的性能の低い外壁の比率が大きくなる。
同じ仕様で建てても、形によって数値は変わる。
等級5に届かせることもできた。
トリプルガラスやダブル断熱(付加断熱)を入れれば数値は上がる。
ただ東京の住宅では過剰設備で、予算も超える。
UA値0.6前後を確保できていれば実用上は十分だと判断した。
2024年6月の入居から、夏を2回、冬を2回経験した。
断熱にこだわった結果がどうだったか、答え合わせを書く。
もうひとつ、UA値だけを見ていると分からない数値がある。
ηAC値(冷房期平均日射熱取得率)だ。
夏に日射が外皮からどれだけ室内に入るかを表す指標で、小さいほど夏に強い。
我が家は1.7だった。
等級5の基準が2.8なので、基準の6割程度に抑えられている。
日射遮蔽型のLow-Eガラス、遮熱塗装の屋根材、遮熱シートの外壁下地——この組み合わせが効いている。
UA値が「温度差で逃げる熱」なら、ηAC値は「日射で入る熱」を表す。
夏の暑さを気にするなら、こちらも見ておくといい。
夏——エアコンがすぐ効く
入居直後の6月は、エアコンなしで過ごせた。
本格的に暑くなってからも、エアコンをつけるとすぐ効き、むしろ涼しすぎるくらいになる。
旧居はエアコンをつけてもなかなか冷えず、暑さを常に感じて、1日に何枚もシャツを着替えていた。
今はそれがない。
冬——エアコンだけで暖かい
冬はエアコンだけで暖かい。
旧居ではガスストーブを併用していたが、新居では使っていない。
光熱費——電気4割減・ガス半分以下
ランニングコストは、旧居と比べてこう変わった。
- 電気代:4割以上の削減
- ガス代:半分以下(ガスストーブが不要になったことと、給湯器の進化)
これは断熱構造だけの効果ではなく、家の断熱構造と住宅設備の進化が合わさった結果だ。
ただ、築60年の家からの建て替えなら、断熱は「快適さ」だけでなく「毎月の固定費」に直結する。
仕様を決める段階で知っておいてよかったと、2年住んで思う。
次章では、空調と住宅設備のこだわりについて書く。
訪問した5社の断熱仕様を並べて比べた記録と、我が家のUA値が標準に届かなかった理由は別の記事にまとめた。

