解体業者選定

解体工事は、自分で業者を手配することに決めていた。

ハウスメーカーに一括で委託すれば品質面や進行管理面では安心だが、費用が相当割高になるという話をあちこちで聞いていた。中間マージンが乗るからだ。住友不動産からも解体を含めた見積もりは出ていたが、ここを切り離して自分で発注すれば、数十万円単位で費用を下げられる可能性がある。住友不動産には、自分で解体業者を手配する方針を事前に伝え、了承を得ていた。

ハウスメーカー選定前、7月下旬の段階で、すでに解体業者への見積もり取得を始めていた。プロジェクト全体の費用感を掴むためだ。建て替えの総額は、本体工事費だけで決まるものではない。解体、外構、登記、仮住まい、引っ越し、家具家電。すべてを合計してはじめて本当の予算がわかる。

解体業者選びの難しさ

とはいえ、解体業者選びは怖い世界でもある。

調べれば調べるほど、トラブル事例が出てくる。業者選びを失敗すると、想定外の追加工事費、近隣からのクレーム、場合によっては訴訟にまで発展することもある。悪徳業者にあたって、本来不要な費用を請求されたという話も珍しくない。

しかも、優良な解体業者を自分で見つけるのは、かなり大変だ。

ネット検索で上位に出てくる業者が優良とは限らない。むしろ、本当に仕事のできる業者は紹介中心で回っていて、ネットに広告を出していないことも多いらしい。信頼できる業者かどうかを判断するには、解体工事業登録の有無、廃棄物処理のマニフェスト対応、近隣対応の姿勢など、専門的な目線が必要になる。

素人が一から業者を探すのは、無謀に近い。

「解体無料見積ガイド」を利用

行き着いたのが、「あんしん解体業者認定協会」が運営する「解体無料見積ガイド」というサービスだった。

ここは、審査を通過した優良業者だけを登録しており、施主と業者をマッチングしてくれる仕組みになっている。利用料は無料。自分で一社ずつ探す必要がなく、いきなり複数の優良業者から相見積もりが取れる。

連絡を入れると、地元に近い優良業者3社を候補として選定してくれた。そして、私が在宅できる平日に合わせて、3社の訪問見積もりをまとめて設定してくれた。いずれも築60年の木造家屋の解体実績が豊富で、対応も丁寧な会社だった。訪問見積もりでは、現場を実際に見てもらい、搬出経路や近隣配慮の方法、工期などを細かく確認してもらう。

3社の見積もりと、住友不動産との比較

3社から出てきた見積もりは、150万円前後で均衡していた。当家は狭小住宅で、建物面積も大きくはない。それを差し引いても、妥当な価格帯だという印象を持った。

一方、住友不動産の解体見積もりは、これを明確に上回るものだった。自分で手配すれば、差額は数十万円単位になる。ある程度は割高になると想定していたが、差額を見てむしろ安心した。自分で手配する方針で間違いない、と確信できた。

この差額は、ハウスメーカーの品質管理や進行管理の「安心料」として支払う価値があるかどうか、という判断になる。自分の場合は、3社とも「解体無料見積ガイド」の審査を通過した優良業者であり、品質面の不安はほぼない。進行管理も、住友不動産との間に入って調整する必要はあるが、工程は明確だ。差額を自分で取りに行くことを選んだ。

決め手になった3つのこと

3社の中から、株式会社MUSUBIに発注することに決めた。決め手は3つ。

ひとつは価格。3社の中で最も安かった。とはいえ突出して安いわけではなく、均衡の中で最も安いという位置づけで、安すぎて不安になるような価格ではない。

ふたつめは、来訪した社長の人柄。体格の良い、朗らかな方で、職人特有の厳しさと温厚さを併せ持っていた。現場を任せても安心して大丈夫だと直感的に思えた。解体工事は、結局は人がやる仕事だ。経営者の人柄は、現場の雰囲気や近隣対応にも直結する。

みっつめは、地中埋設物への対応の仕方だった。

当家の土地は、近隣の工事の話を聞くと、地中に埋設物がある可能性が高かった。このことをMUSUBIの社長に伝えると、丁寧に対応方法を説明してくれた。コンクリート等の埋設物が発見された場合は撤去が必要で別料金になるが、発見した時点ですぐ見積もりを提出する、と。

そして、こう付け加えてくれた。

「この件を事前に業者に伝えると、悪徳な業者の場合、外から持ち込んだ埋設物を混ぜて撤去費用を水増しするところもあります。注意したほうがいいですよ」

この一言で、信頼できる業者だと確信した。自分の仕事を増やすチャンスを差し出されたときに、むしろ施主を守る助言をしてくれる。こういう姿勢は、誠実でなければ出てこない。

発注までの流れ

9月中旬、住友不動産との間で着工スケジュールを仮決めしたタイミングで、MUSUBIへの解体発注を住友不動産に打診した。了解を得て、9月18日、MUSUBIに正式に発注を決め、あんしん解体業者認定協会にも連絡を入れた。

9月28日、MUSUBIが来訪して具体的な打ち合わせ。12月1日解体着工、という予定で合意した。

これで、解体工事の手配は完了。次は仮住まい先の選定に移る。