2月5日、基礎工事が着工した。
住友不動産の建築工程のなかで、最も時間をかけて行われる工程だ。この先、約1ヶ月をかけて、家の土台となる基礎が作られていく。
なぜ基礎に1ヶ月もかけるのか
基礎工事は、建築本体工事の前段階という位置づけで、住友不動産の建築チームとは別の、専門の基礎屋さん(小島土木)が施工を担当する。
1ヶ月という工期を最初に聞いたとき、正直、長すぎないか、と感じた。建物本体の建て方工事が3週間であることを考えると、基礎のほうが長いのか、と。
しかし、契約前に営業担当から聞いていた話を思い出した。
「住友不動産の注文住宅は、基礎に時間をかけます。作業もしっかり行うし、検査も徹底的に行う。当社でも建売住宅の場合は、ここまで時間をかけません」
注文住宅と建売住宅で基礎工事の時間のかけ方を変えている、という事実は、契約前の比較検討段階で大きな印象を残していた。基礎は、家が建った後は見えなくなる部分だ。ここで手を抜くメーカーと、時間とコストをかけて丁寧に施工するメーカー。その差は、数十年後の建物の状態に現れる。
1ヶ月という工期は、「しっかりした家を建てる」という意思の表れなのだ、と納得して工事を見守ることにした。
当家の基礎仕様
当家の基礎は、ベタ基礎。
ベタ基礎とは、建物の底面全体を鉄筋コンクリートで一体成形する工法だ。床下全面が一枚のコンクリート板になるため、建物の荷重を面で地盤に伝えられる。地震時の揺れに強く、不同沈下にも強い。阪神淡路大震災以降、新築戸建てではこの工法が主流になっている。
仕様の数値は以下の通り。
- スラブ厚(底盤の厚さ):150mm
- 立上り幅(基礎の立上り部分の厚さ):430mm
- スラブ配筋:短辺方向にD10・D13を交互@100mm、長辺方向にD10@200mm
スラブ厚150mmは一般的な仕様の目安を満たし、立上り幅430mmは標準よりかなり分厚い。配筋は、鉄筋の太さ(D10=直径10mm、D13=直径13mm)と配置間隔(@100mm=10cm間隔)を示す。短辺方向に太さの違う鉄筋を交互に高密度で配する仕様は、長期優良住宅基準を満たすための配筋となっている。
捨てコン・防湿フィルム敷設
2月5日の着工から、工程は一つずつ丁寧に進められた。
最初の工程は、捨てコン(捨てコンクリート)の打設。建築部分の地盤を固めたあと、薄くコンクリートを打って建物の基準線を作る。本体のコンクリートを打つ前の「下地」となる層で、この上に基礎が組み上げられていく。
同時に、建築部分には地面からの湿気の上昇を防ぐための防湿フィルムが敷かれた。住友不動産の標準仕様で、基礎の耐久性や建物の寿命に関わる重要な下地処理である。提案資料にも、基礎の長期耐久性を支える要素のひとつとして防湿フィルムが記されていた。

配筋
捨てコンの上に、鉄筋を組み立てていく。いわゆる配筋工程だ。
床下全面に、D10・D13の鉄筋が指定のピッチで配置されていく。底面の鉄筋は、現地で1本ずつ丁寧に配筋されていく。立ち上がり部分の鉄筋は、あらかじめ工場で組み立てられたユニットがブロック単位で運ばれてきて、現場で連結していく方式だった。
現地と工場の役割分担が、施工速度と精度の両立を生んでいる。職人の手作業と、プレハブ化された部材の組み合わせ。現代の基礎工事は、このハイブリッドで進められているのだと実感した。
2月15日、配筋検査
2月15日、配筋検査の立会を行った。
この日は午前中に休みを取って現場に向かった。コンクリートを流し込む前に、鉄筋が設計通りに配置されているかを確認する重要な検査だ。住友不動産の工事監督が立ち会い、詳細なチェックリストに沿って一つひとつ確認していく。

正直に書けば、施主の私が立ち会っても、ほぼ説明を受けるだけである。鉄筋の本数や太さ、ピッチを専門的に判定する知識は、私にはない。それでも立ち会う意味があると考えたのは、「施主が見に来ている」という事実が、現場に良いプレッシャーとして機能するのではないか、という思いからだった。
実際に現場を見ると、鉄筋は整然と配置され、交差部は丁寧に結束されていた。私でも「これはしっかりしている」とわかる仕上がりだった。
工事監督とは、今後のスケジュールについても確認した。この配筋検査を無事に通過すれば、次はコンクリート打設に進む。
コンクリート打設

2月16日、底盤コンクリートの打設。
現地では見ていないが、すみふトークで工程の進捗と写真が共有された。底盤と立上り部分を分けて打設するのが、住友不動産のベタ基礎の標準的な施工手順だ。
底盤のコンクリートが十分に養生されたあと、翌週には立上り部分のコンクリートが打設された。型枠の中にコンクリートを流し込み、底盤と立上りが一体化することで、ベタ基礎の堅牢な構造体が完成する。
2月23日、型枠が解体された。
基礎の姿が現れる。全面がコンクリートで覆われた底盤の上に、建物の外周と間仕切りに沿って立上りが走っている。配管の貫通部も適切に処理され、将来の給排水工事に備えた穴が確保されていた。

自分の目で完成した基礎を見たとき、「堅牢な家がこれから立ち上がる」という確信が芽生えた。コンクリートで作られた分厚く太い土台。この上に、2×4工法の構造体が組み上げられていく。
2月29日、基礎工事完了
2月29日、基礎工事が予定通り完了した。
着工から約1ヶ月。当初のスケジュール通りの日程だった。建築許可申請の遅延という波乱を経験した後だっただけに、ここからの工程が予定通りに進んでいることへの安堵は大きかった。
翌日からは、建物の躯体を組み上げるための足場が設置される。そして、いよいよ2×4工法による建て方工事が始まる。1年近く図面上で検討してきた家が、ついに立体として姿を現す瞬間が近づいていた。