第12章 桧家住宅で聞いた内容

最後に訪問したのは桧家住宅だった。ここまでで各社の違いがある程度見えてきており、最後の1社がどう位置づけられるかを確認するつもりで臨んだ。

一点だけ気になったのは、LIFULL HOME’Sから事前共有されているはずの情報が伝わっていなかったことだ。住所などの基本情報もその場で一から確認された。準備状況という点では、ここまでの会社と差があった。

ただ、担当者の対応は他社とは少し違う雰囲気だった。説明は積極的で営業意欲も十分あるのだが、自社の強みだけでなく弱みや自虐ネタも躊躇なく話してくる。

「構造には強みがありますが、住宅設備は高いものは使っていません」

「桧家という社名ですが、ヒノキは使っていないんです」

こういった話を笑いながら持ってくる。警戒心が解けるような話し方で、好感が持てた。

特に力を入れた説明が断熱性能と全館空調だった。壁の中に断熱材を直接吹き付ける施工で気密性を高め、断熱性能に自信を持っている。また家全体の温度を一定に保つ全館空調システムが標準装備されている。今回訪問した5社の中で、この分野の特徴が最もはっきりしていた。

さらにオプションとして、この全館空調システムに市販のエアコン2台と組み合わせた「Z空調(ぜっくうちょう)」というシステムの提案があった。24時間365日、室温を自動調整し続ける仕組みだ。訪問時はキャンペーン中でオプション料金が無償とのことだったが、担当者はこう付け加えた。「部分的・一時的な暑さ寒さには対応できないので、その場合はもう一台エアコンが必要になります」。強みだけでなく制約もきちんと伝えてくる姿勢は、この訪問全体を通じて一貫していた。

耐震については「耐震等級3は取得できる」との説明で他社と同様。構造はツーバイフォー工法だ。ただし熊本地震では倒壊を経験しており、その後耐震性能の見直しと強化を行っているとのことだった。改善の経緯を正直に話してくれた点は評価できるが、改良後の実績がまだ蓄積されていない点は判断材料として留保が必要だと感じた。

図面や見積は初回では提示されず、提出まで一週間以上かかるとのことで、対応スピードは他社より遅い。

これで5社すべての初回訪問が完了した。断熱・空調に強みを持つ一方、耐震の実績と設備グレードに課題が残る——桧家住宅はそういう位置づけだった。

次章では、各社から提案書が揃った段階で改めて比較していく。


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