3章のKさんの説明を聞き終えたとき、私の中では結論が出ていた。
建て替えるしかない。
理由はシンプルだった。私が一番恐れていたのは、いつかこの家に住めなくなることだ。大きな地震で家が倒壊する——そのイメージが、ずっと頭の片隅にあった。
リフォームやリノベーションでも、設備を更新し内装を整えれば住みやすくなる。費用だけを見れば、建て替えより大幅に抑えられる。しかし構造躯体は変わらない。基礎、柱、梁——家の骨組みそのものは、リフォームでは作り直せない。
「長く安心して住める家にしたい」
それが私のプロジェクトの本質だと、この相談で初めてはっきり言語化できた。その目的を達成する方法は、建て替え一択だった。
建て替えとなると大規模なプロジェクトになる。費用も格段に増す。しかし安心して住める家にするためには、必須な工事だ。親から受け継いだこの家を、自分の手で新しく丈夫な家に生まれ変わらせる。Kさんとの相談の最中、55歳でこの大きなプロジェクトを始動する決意を持った。
次に考えるべきことは、どの会社に建ててもらうか、費用はどれくらいになるか——家づくりの具体的な条件だった。