第3章 地震に耐えられる家にするための条件

LIFULL HOME’Sのオンライン相談で、私は担当のKさんにこう伝えた。「費用をできるだけ抑えながら、耐震対策をしたい」と。

Kさんが最初に聞いたのは、「建てられたのはいつ頃ですか?」という一言だった。

築60年。1960年代の木造住宅です、と答えると、Kさんは日本の耐震基準の話を始めた。

1981年、日本の耐震基準は大きく改正されている。それ以前の住宅は「旧耐震」と呼ばれ、「震度5程度で倒壊しない」という前提で設計されている。現在の基準(新耐震)は「震度6〜7でも倒壊しない」。私の実家は、今の基準では安全とは言えない建物だった。

「重要なのは設備ではなく、構造です」

Kさんはそう言った。

古い家と聞くとキッチンや浴室、外壁の傷みを思い浮かべる。私もそうだった。しかしKさんの説明はそこではなかった。住宅は設備・内装・構造で成り立っている。設備や内装はリフォームで交換できる。だが構造躯体——基礎、柱、梁という家の骨組みは、簡単には変えられない。

リフォームでできることには限界がある。設備は新しくなる。内装もきれいになる。ある程度の安全性も向上する。しかし家の骨組みそのものを、現在の耐震基準に作り直すことはできない。

この説明を聞いたとき、霧が晴れるような感覚があった。

私がずっと気にしていたのは、設備の古さや家の傷みだった。しかし問題はそこではなかった。基礎、柱、梁——構造躯体そのものをどうするか。それが本質だった。

そしてその瞬間、一つの結論が見え始めていた。

次章では、そのとき私が出した結論について書く。


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