注文住宅

建て替え判断

第5章 家づくりの具体的な条件

建て替えを決めた。次に必要なのは、現実的な条件を整理することだった。LIFULL HOME'SのKさんと一緒に、土地・規模・費用・ローンを一つずつ確認していった。土地の条件と家の規模最初に確認したのは、土地の建築条件だ。住宅はどんな家でも建てられるわけではなく、地区ごとに建蔽率と容積率が定められている。建蔽率とは敷地に対して建物を建てられる割合、容積率は建物全体の延べ床面積の上限だ。私の実家の土地を調べてもらうと、建蔽率30%・容積率60%という結果だった。正直、かなり小さいと感じた。今の家は土地に対してかなりの面積を占めているが、60年前は建築基準が今と異なっていたのかもしれない。つまり建て替えると、今より大幅に小さい家になる。ただ、考え直してみると私には許容できる条件だった。家族が増える予定はなく、広い家は必要ない。むしろ将来の掃除・維持費・管理の手間を考えると、コンパクトで使いやすい家の方が合っている。家づくりで重視したこと条件として特に重視したのは二点。災害に強いこと、そして長く安心して住めること。日本で暮らす以上、耐震性能は外せない条件だった。設備については豪華な仕様は求めな...
建て替え判断

第4章 私が建て替えを選んだ理由

3章のKさんの説明を聞き終えたとき、私の中では結論が出ていた。建て替えるしかない。理由はシンプルだった。私が一番恐れていたのは、いつかこの家に住めなくなることだ。大きな地震で家が倒壊する——そのイメージが、ずっと頭の片隅にあった。リフォームやリノベーションでも、設備を更新し内装を整えれば住みやすくなる。費用だけを見れば、建て替えより大幅に抑えられる。しかし構造躯体は変わらない。基礎、柱、梁——家の骨組みそのものは、リフォームでは作り直せない。「長く安心して住める家にしたい」それが私のプロジェクトの本質だと、この相談で初めてはっきり言語化できた。その目的を達成する方法は、建て替え一択だった。建て替えとなると大規模なプロジェクトになる。費用も格段に増す。しかし安心して住める家にするためには、必須な工事だ。親から受け継いだこの家を、自分の手で新しく丈夫な家に生まれ変わらせる。Kさんとの相談の最中、55歳でこの大きなプロジェクトを始動する決意を持った。次に考えるべきことは、どの会社に建ててもらうか、費用はどれくらいになるか——家づくりの具体的な条件だった。← 前の章:第3章 地震に耐えられる家...
建て替え判断

第1章 築60年の家で起きていたこと

床が鳴るたびに、少しだけ気になっていた。築60年。母と同居してきた木造の実家は、長い間、大きな手を入れていなかった。水回りの交換も、外壁の塗装も、「そのうち」と言い続けて、気づけばここまで来てしまった。床のきしみ、窓のすきま風、建具のゆがみ、水回りの小さな水漏れ。どれも今すぐ困るわけではない。でも「このままでいい」とも思えなかった。決定的だったのは、地震の話を聞いたときだ。この土地の地盤はもろい、と以前から聞いていた。ニュースで大きな震災の映像が流れるたびに、同じ問いが頭に浮かぶ。この家は、あと何年住めるのだろうか。修理をせずにここまで来た後ろめたさも、その不安を大きくしていた。今すぐどうにかなるわけじゃない。でも、「いつか」は確実にやってくる。そう気づいたとき、私は初めてきちんと考えることにした。リフォームなのか、リノベーションなのか、それとも建て替えなのか。そして、誰に相談すればいいのか。55歳からの家との向き合い方が、ここから始まった。次の章:第2章 どこに相談するべきか考えた →