第5章で書いたとおり、私の中には、比較を重ねても消えない不安が残っていました。
それでも、この時点で「建て替えよう」と決めていたわけではありません。
できることなら、リフォームやリノベーションで済ませたい。その気持ちは、最後までありました。
ただ、考え続ける中で、少しずつ、見ているポイントが変わっていきました。
不安の正体を、言葉にしてみる
あるとき、自分は何に引っかかっているのかを、あらためて整理してみました。
すると、「築60年だから不安」「地震が心配だから不安」といった漠然とした理由ではなく、
この家に住み続ける限り、これからも判断し続けなければならない、という点に行き着きました。
壊れたら直す。
不具合が出たら考える。
そのたびに、費用と安全性と将来を天秤にかける。
その繰り返しを、この先も続けていくこと自体が、私にとっては大きな負担だと感じたのです。
「今は大丈夫」を、何度まで許せるか
リフォームやリノベーションを前提に考えると、判断の基準はいつも「今は大丈夫かどうか」になります。
今すぐ倒壊するわけではない。
今すぐ住めなくなるわけでもない。
だから、「今回は見送ろう」「もう少し様子を見よう」という判断になりがちです。
ただ、それを何年、何回、繰り返すのか。
60代、70代になっても、同じ判断を続けている自分を想像したとき、正直、前向きな気持ちにはなれませんでした。
安心できる状態を、一度つくるという考え方
ここで、建て替えに対する見方が少し変わりました。
建て替えは、費用もかかり、簡単な選択ではありません。
けれど、一度、安心できる状態をつくってしまえば、少なくとも家の安全性そのもので悩み続ける必要はなくなります。
地震が来るたびに、この家は大丈夫だろうかと考えなくていい。
次はどこが悪くなるだろうと、構え続けなくていい。
そう考えると、建て替えは、不安をゼロにする選択ではなくても、
不安の種類を大きく減らす選択なのではないかと思えてきました。
現実的に考える段階に入った
このあたりから、私の中で、建て替えは「現実味のない選択肢」ではなくなっていきました。
もちろん、費用の問題は残っています。
家が今より小さくなる可能性もあります。
それでも、一度きちんと調べてみなければ、この選択肢を自分の中で否定することも、納得することもできない。
そう思うようになりました。
ここでようやく、建て替えを前提に考えてみる、という段階に入ったのだと思います。
次の章では、私が実際にどこに相談し、どんな情報を集め、どうやって行動に移っていったのかを、順を追って書いていきます。